ライブ後のアンケートでも「凄いものを見せて聴かせていただいたという思いでいっぱい！お三方、揃ってたいへんなテクニシャンなんだなぁと感心しました。」という意見のように、吉岡のスゥインギーかつ、スピード感あふれるピアノテクニックに呼応するベースとドラム、2時間があっと過ぎてしまった。ピアノ・トリオで2時間ライブというのは、ともすればミュージシャンのひとりよがりで、冗漫になりやすいが、CDの中の曲「モーメント・トウ・モーメント」のように美しい曲もあれば、高橋のドラムソロをフューチャーしたエキサイティングな曲も演奏するなど飽きさせない。

彼のピアノテクニックは、小手先ではない。彼はピアノを弾くとき、常に、おもいっきり楽しそうな表情で演奏する（これはハスキーGだけではない）ので聴衆も、知らず知らずのうちに、彼のイメージとするジャズの世界に引き込まれていくのである。かつてのジーン・ハリスのように、吉岡というピアニストは陽性であり、スタンダードを演奏しても、一音で彼と分かる、オリジナリティ溢れるピアノだと感じるのは私だけだろうか。

2001年　2月　3日　ハスキー 加藤信吾