多田誠司のファンによると、石井彰トリオ＋多田誠司というユニットは裏モストというらしい。ギャラリーでは以前THE MOST＋石井彰(2002年2月)の表モストを経験したが、今回はその逆パターン。でも2003ファイナル・ギャラリー・ジャズ・コンサートと題したこのライブ、遠くは神戸からもお客様をむかえ、以前と同じ60人を超える大盛況であった。
ライブは最近、日野バンドのレギュラーとしても活躍しているピアノの石井、アルトの多田を中心に、いつもながら情熱的で、メロディアスな演奏でファンを魅了した。
また、ベースの俵山はアコースティックからエレベに持替え、ドラムスの売れっ子江藤は、額から飛び散る汗をぬぐわずハッスルしたドラミングで会場をわかせた。石井彰トリオは、2001年にVoice in the night、2002年にShincronictyの2枚のアルバムを発表しており、すっかりファンになじんでいる。今回のオープニングは、Voice in the nightから彼のオリジナルであるサテン・ブローからはじまった。前半は他にFブルースや、ゲスト多田誠司をフューチャーしたマッチ・モア・モスト等が演奏された。20分休憩の後、2部の最初は、石井彰のピアノと多田誠司のデュオにセルバン・ベティ、ジャズとは即興と感じさせる不思議な緊張感が漂う曲であった。他にモンクのミステリオーソや石井のオリジナル、エブリシング・アイ・ノウ、そして私の大好きなレデイス・イン・メルセデス・ベンツ（ん？曲名違ったかな）が演奏された。ステーブ・スワローのこの曲、まさに高速道路を走るメルセデス・ベンツを思わせる壮快感がある。そして、最後はアウト・オブ・ノー・ウェアーで今年最後のギャラリー・ジャズ・コンサートは終了した。師走の風は冷たいが、すべてを出し切ったミュージャシャンにはここちよかったに違いない。

2003年　12月　28日　ハスキー 加藤信吾