BACK NUMBER　2009年　6月
斉藤真理子　ジャズコンサート

ジャズピアニスト斉藤真理子より、3作目のニューCD発売記念ライブ「アイ・ウィッシュ・ユー・ラブ」の出演申出が昨年暮にあった。ボーカル・アルバムだという。私はすぐれたジャズピアニストはすぐれたジャズ・ボーカリストになれる素養があると思っている。ピアノの打鍵から流れるメロディは、ときにアドリブを含めボーカリストの歌となり、同じ様に人を感動させる。すぐれたジャズピアニストはピアノを自分の肉体の一部として歌うことができるのである。が…、しかし、現実には、すでにすぐれたジャズピアニストとして確固たる地位を築き上げているベテラン・ピアニストが。3作目にしてボーカル・アルバムを手掛けるということは私の知る限りこの世界、希有である。世界ではカーメン・マックレイ、ダイアナ・クラールの例はあっても日本では希有である。私は難色を示した。しばらくして彼女からプロモーションCDが送られてきた。早速視聴してみた。JBL S2600をほんの少しボリュームをあげた。斉藤はギター、ベースをバックに、優雅で美しいメロディをもった曲を大胆なアレンジで見事にうたいあげていた。6月のライブはこれだと思った。湘南ジャズフェスティバル茅ケ崎コンサートが終了して、はじめてのギャラリーのライブはガーシュインの名曲ス・ワンダフルからはじまった。タイトル曲、クライ・ミー・ア・リバー、イースト・オブ・ザ・サン、ワット・イズ・コールド・ラブ、アイ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン、ジンジ、マイ・ファニー・ヴァレンタイン、ときにインストをまじえて見事なボーカル・ライブだった。アンコールのフライ・ミー・トウ・ザ・ムーンは梅雨空のうっとうしさを感じさせない、さわやかなロマンチシズムを感じさせた。

2009年　6月21日　ハスキー 加藤信吾

↑斉藤真理子