BACK NUMBER　2009年　10月
バート・シーガー3・コンサート

こんなにも美しいジャズがあったのか。印象派のジャズピアニスト　バート・シーガーがやってきた。ドラムス池長一美のプロデュースである。バート・シーガー・と池長一美の出会いは1991年にさかのぼる。バークリー音楽大学留学時代の池長の先生がボストンにてバート・シーガーとライブを行い、そこに立ち会う池長を彼は知ることになる。1995年池長は帰国するが、ほどなく旧知の彼より日本公演の話が持ち上がった。そしてベースに吉野弘志を迎え、日本版バート・シーガー・トリオツアーを結成。以後毎年秋にツアーを行い、確実に日本でもファンを増やしてきた。ギャラリーコンサート当日は雨、ジャズミュージシャンの演奏する姿が描かれた作品の並ぶ「音の風景展」の会期中での開催であった。
マイ・シャイニング・アワー、バーニーズ・チューンというスタンダードではじまったライブは以降プレリュード、ワン・ノート・ワルツ（すごくいい。）、ハウ・ハイ・ザ・オーシャン。ロック・ターン（落胆じゃないです）とビル・エバンスのピアノの流れを汲むバートらしい美しいオリジナル・サウンドのジャズをわれわれに聴かせてくれた。
池長は彼の音楽は哲学だという。ラストの曲「ラーニング・トラスト・ラブ」直訳すると「愛をもって信じることを学ぶ」「寛容」とも訳せる彼のオリジナルは、戦争、仲たがい…、そんな社会の外的要因によるストレス、心の痛みも愛と寛容があればのりきれる、愛と平和をもとめていけば、希望はみえてくるんだというメッセージを私たちに音楽を通じて教えてくれたのかもしれない。

2009年　10月17日　ハスキー 加藤信吾

↑バート・シーガー3